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M&Aによってブランドを獲得した成功事例
M&Aによって新規参入のハードルが高い業界の「顧客と実績」、そして「ブランド」を手に入れることができた事例をご紹介します。
本件はもともと、売手企業からの資金調達に関する相談でした。
特色あるデザイン、設計、海外資材の調達力があり、取引先も大手企業ばかり。
しかしその一方で、資金の回収サイトは長く、売上増加に伴う運転資金の調達が経営負担になっていました。
買手は参入障壁の高い事業に価値を見出す
そのような状況の中、下請業者に工事トラブルが発生したことが要因となり、資金繰りが悪化することになりました。
オーナーは他にやりたいビジネスもあり、追加運転資金の調達ではなく、売却という選択肢を選びました。
買手は飲食店やアミューズメント施設に強みのある内装業者です。
業績は順調に拡大しながらも、目に見えない参入障壁は高く、過去実績が受注の判断となる高級ホテルやクリニック、ブライダル等の分野には進出できずにいたことで、とても魅力を感じたようです。
デューデリジェンスにはさほど時間はかけずに、キーマンの離職防止、顧客離反防止、海外資材の仕入ルートの分析、競合先分析、外部発注先の実績、関係性などのビジネスDDに重点を置きました。
人的資産がなくなるとM&Aはとん挫する?
基本合意契約を締結した後に、キーマン社員2名と買手が面談し、M&Aの事実を告げました。
その時は前向きに受け止めてくれましたが、数日後キーマンの1名から、以前から独立を考えており退職したいとの申し出がありました。
キーマンを1人失ったことに買手はショックを受け、M&Aの中止を申し出てきました。
売手と相談し、この業界はある程度の資金力がなければ独立が難しいこともあり、買手の「業務委託先」となることを提案しました。
幸いこの提案は受け入れられ、数年経った今でも関係は続いていると聞いています。
思わぬ副産物を生み出す資本業務提携
M&Aの買手であった内装業者のHPを見ると、譲渡された事業が前面に出ており、実績も着実に積み上げられていました。
そして、このM&Aには想定外のメリットもありました。
内装業界は常に人材不足に悩まされていましたが、資本業務提携により高級路線の取引先が増えたことで企業ブランドの向上につながり、人材採用がしやすくなったのです。
買手はM&Aの目的を明確にし、自らビジネスDDを行い、譲渡後、着実にその目的を達成することができました。
聞けば、それなりに大変な時期もあったようですが、筆者に相談することなく自ら解決すると決め、乗り越えたようです。
この経験をもとに、現在もM&Aを活用し拡大を続けています。
数年経った今でも両企業の関係は続いていると聞いています。
出典:幻冬舎ゴールドオンライン「赤字でも「意外な価値」がつく会社の特徴【M&Aのプロが解説】」
この記事は資料も含め、著者に一部加筆修正の了承を得た上で掲載しております。
本編は『スモールM&Aのビジネスデューデリジェンス実務入門』をもとに再編集し、シリーズでお伝えしています。他の記事は下記からご覧いただけます。
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