【書評】ChatGPTとの協働が生み出す価値創造
- 2024/3/30
- 書評
著名な経済評論家田尻望氏が提示する「『キーエンス思考』×ChatGPT時代の付加価値仕事術」。本書では、キーエンスが誇る高収益企業としての成功の秘密に迫り、その根幹にある「付加価値」の創出プロセスを緻密に解説しています。田尻氏がキーエンスの経営哲学とビジネスモデルを通じて論じる、真の価値提供とは何かについて、企業支援のエキスパートとしてご活躍の書評ブロガー、徳本昌大氏のナビゲートでお届けします。
「キーエンス思考」×ChatGPT時代の付加価値仕事術
田尻望(日経BP)
目次
本書の要約
ChatGPTを活用することで、顧客体験を向上させるための新しいアイディアやソリューションを迅速に提供することが可能となります。ChatGPTで付加価値を高めることで、お客様からの信頼と感謝を獲得し、ビジネスの成果を最大化することができるのです。そして、その成果は私たちの幸福感や生活の質の向上にも繋がります。
ChatGPTを活用して付加価値を創造
Chat GPTを使える人とそうでない人の差は、従来の仕事ができる人・できない人というレベルとは異次元の差になっていきます。使いこなせる人の中でも、作業を効率化するだけのツールとして使うのか、成果に直結する使い方ができるのかで、さらに差が付くでしょう。
本書の著者、田尻望氏は、高収益を誇る企業「キーエンス」の成功の背後にある「付加価値」の創出プロセスについて詳しく解説しています。
キーエンスは、その独自のビジネスモデルと経営哲学により、業界をリードする存在。
その成功要因の1つに、顧客に対する真の価値提供を追求する姿勢が挙げられます。
本書では、ChatGPTを用いて、この「付加価値」の創出プロセスを模倣するための具体的な手法やステップが紹介されています。
ChatGPTは、高度な自然言語処理技術を持つAIですが、その能力を活用してキーエンスのような成功を再現するための方法論が本書で提案されています。
また、技術だけでなく、企業文化や組織のあり方、そして人間の役割についても深く考察されており、読者にとって非常に有益な内容です。
目的の設定と障壁の解消
付加価値を生み出し目標を達成するためには、明確な目的を迅速に設定し、その目的に向けての障壁や問題点を特定し、それを解消することが鍵となります。
この一連のプロセスを効率的に、そして迅速に回す能力が成果を生む秘訣です。
このサイクルを理解し、実践することで、目的達成のスピードと質が向上します。
このスキルは、コンサルタントだけでなく、ビジネスの現場で活躍する経営者や従業員にとっても、業績を向上させるための不可欠な能力といえます。
成果を追求する人々は、目的を明らかにしそれに沿った問題解決を図るといったサイクルを身につけることで、より高い成果を実現できるのです。
その際、ChatGPTを使うことで、成果を出すサイクルを誰でも簡単に回せるようになります。
ChatGPTがくれるヒント
自分だけでなく、周囲の人も含めた仕事の目的を考えながら仕事をしていると、次第に状況が定義できるようになっていきます。 そして面白いことに、自分や他人の仕事の目的を理解し、それぞれの目的達成のためにどうすればいいかはChatGPTがヒントをくれるのです。
ChatGPTの助けを借りながら上司の目的を理解すれば、上司自身ができていないことですら、部下である一般社員が提案したり実行に移したりすることができます。
結果、上司からは「君がいないと困る」と頼られるようになり、出世にもつながっていくことでしょう。
上司との関係改善は、働きやすい環境づくりだけでなく、ChatGPT活用による仕事の目的の明確化や理解を深めることにつながり、成功のスパイラルが生まれていくのです。
キーエンス流プロの条件
キーエンスにおけるプロフェッショナルの前提条件を以下のように著者は指摘します。
- 高い業績を上げる強い意欲と情熱を持っているか
- 自分の強みと課題を理解しているか
上記2点を備えたうえで、さらに以下の8つの条件が必須です。
- 売り上げと経費削減につながる企画が出せているか
- 最小の時間と費用で進めることを常に意識しているか
- 判断は市場原理と経済原則に基づいているか
- 当事者意識を持って気づきを発信できているか
- 自分の意見・考えを持って、報・連・相ができているか
- 因果関係〝なぜ〟をはっきりさせているか
- 大事な事柄を周囲に十分浸透させているか
- 満足な結果が出せているか
これらの必須条件を備えるために、ChatGPTを使い倒しましょう。
▶後半では、実際のChatGPT活用術と、その結果、私たちのもたらされるものについて解説してくださいます。