リーダーは通常業務から脱出し、イノベーションの担い手となれ

TOPである経営者を支える“重職”の心得を記した、幕末の儒学者 佐藤一斎による「重職心得箇条」。連載でご紹介しているコラムの5回目は、第8条のなかから、リーダーが忙しさから解放されてこそイノベーションが実現可能となることについて、一般社団法人数理暦学協会の代表理事 山脇史瑞氏の考察よりお届けします。

忙しさはマネジメント力の欠如なり

重職たるもの、
勤め向き繁多と云ふ口上は恥ずべき事なり。

(重職心得箇条 第8条 佐藤一斎)


重職心得箇条とは、幕末の儒学者である佐藤一斎が、自藩の重役たちに向け、藩の重職の心構えなどについて書き記したもの。第8条は重職の大きな役目の一つ、「任せることで大局を観るべし」とする教えが説かれています。


リーダー・管理職が
口に出して「忙しい」と言うことは、
恥ずべきことだと思いなさい。
スケジュール管理が出来ていないと、
余裕のなさを公言しているようなもの。

いざという時、部下の手助けができるように
時間の余裕を持ってスケジューリングを組むことこそ、
マネジメント能力だ。

忙しさの方程式

(締切の仕事+予定外の仕事)×性格=忙しい

どれほど多くの仕事を抱えていても、
締め切りがなければ先延ばしができるので、
理論上は忙しくはならない。

締切の仕事を抱えた状況に、
「予定外の仕事」が発生すると忙しさが発生する。
さらにそこに個々の性格の違いによる
チームワークの不調和が生じると、
忙しさは倍増する。

通常業務のスケジュール管理は出来ていても、
予定外の仕事が発生すると、スケジュールが狂い、
判断力も疲弊し、心に余裕を失う。

社員の気持ち、
社会情勢、
公平な考え方など、
最も大切なことに対して雑になる。

忙しさはイノベーションの阻害要因

「リーダーが日常業務で忙しい」という状態こそ、
イノベーションを阻害する一番の理由ではないか。

いくら素晴らしい企画を部下が提案しても、
余計な業務を増やして
自分の首を締めたくないという理由で、
握り潰してしまう。

ここにチャンスがあるなと思いついても、
それをやったら本来の業務が疎かになり、
評価が下がるという理由で、
思考そのものを停止する。

日常業務の不効率化が
イノベーションを阻害する。
つまり、通常業務の中に、
いかに余裕を持たせるかということこそが大切なのだ。

業務のスリム化で余分な時間を持とう

「締切のある通常業務」は
最もIT化しやすい分野でもある。

だから我々はまず、
新規事業にITを取り入れようとするが、
現在の会社を金銭的に動かしている
通常業務の合理化こそを
最優先すべきではないだろうか。

通常業務を極力合理化し、
予定外の仕事・思いついた余計な仕事に
邁進させることこそ、
イノベーションの環境づくりではないかと思う。

忙しさとは、心を亡くすと書く。
上下に並べると「忘」になる。
忙しさが過度になると、
大事なことを忘れやすくなる。

イノベーションを推進したければ、
「締切のある通常業務」から
リーダーを脱出させるべきだ。

合理化を徹底的に進め、余計な事を楽しめる社会を創り出そう。

出典:Wikipedia

佐藤さとう一斎いっさい(1772~1859年)は、美濃(岐阜県)岩村藩の代々家老を務める家柄に生まれ、幼少の頃から聖賢の経書に親しんだといわれています。22歳の時、大学頭・林簡順の門を叩き、儒学で身を立てることを決意。林家の養子となり、34歳で林家の塾長に抜擢されます。多くの門弟の指導に当たり、70歳のとき、現在の東京大学総長の立場である昌平黌の儒官に任官。日米和心条約の外交文書の作成にも携わりました。

出典:東洋古典運命学「忙しさの方程式」
この記事は著者に一部加筆修正の了承を得た上で掲載しております。

山脇史端
一般社団法人数理暦学協会 代表理事
算命学カウンセラー協会主催

投稿者プロフィール
13代算命学宗家・故高尾義政氏・清水南穂氏直門下生として、清水氏に20年師事。当協会の学理部門を総括する。
一般社団法人数理暦学協会代表。
担当講座は、干支暦学入門講座・干支暦学1級講座・講師養成講座・数理暦学講座など。
IT事業、企業研修、オンラインシステムの運営を担当

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