部下が、あなたに一番聞いて欲しいことは?〜人材育成は「知る」ことから
- 2022/10/18
- コラム
目次
変容と成長を導く「フィードバック面談」
社員の考え方と行動を変化させ、成長に導くために重要になるのが上司から部下へマンツーマンで実施する「フィードバック面談」と呼ばれるものです。
これは、評価制度に基づいた評価の結果とその理由、これからの期待事項、もっと成長するための具体的な行動指針などを伝え、成長へのモチベーションを高めてもらうためのものです。
評価とともに「フィードバック」する
会社や上司の評価、その結果の伝え方は、評価される側の社員の人生に大きな影響を与えます。
上司からのフィードバック内容を聞きたい、と思ってもらうためには「部下の想いや考えを徹底的に聞き理解する」ことが重要です。
「できたこと」「できなかったこと」は何か
評価の内容を伝える前に、下記のようなことを部下に聞いてみるとよいでしょう。
・この評価期間で「頑張ったこと」「できたこと」は?
・この評価期間で「できなかったこと」は?
・会社や上司にどんなことを期待されていると思う?
・次の期の目標や実践したいと思っていることは?
特に、「会社や上司からの期待事項」については、部下にいろいろ質問することによって、部下自身が「何をしたいのか」だけでなく「会社の期待に応える必要がある」ということを自ら理解してくれるようになります。
期待事項に納得できれば、おのずと動く
フィードバック面談のゴールは、「評価される側が自身の評価内容に納得し、会社や上司からの今後の期待事項と評価点数を高めるための具体的行動を実践していきたい!と思うようになること」です。
「良いフィードバック面談」での重要ポイントとは
・部下の考えや自己評価の理由を否定せず、徹底的に聞く=「部下を理解する」
・部下の考えを理解した上で、評価内容とその理由、期待事項を伝え、今後の具体的な改善行動を一緒に考え、合意する
このような面談を繰り返すことにより、上司と部下の認識のGAPがなくなり、部下が成長意欲を高め、「より頑張りたい!」と思って行動することで、成果・成長につながっていきます。
これが、経営者や上司の重要な仕事であり、自身のやりがいと喜びにもつながるのです。
評価者は、部下に信頼されているか
今回は私が支援させていただいているクライアントで実際にあった、評価者の成長についてお話します。
そのクライアントは、島根県の自動車メーカー系ディーラーで、従業員40名ほどの会社です。
先代である父親から事業を引き継いで3年目となる社長は、今後生き残っていくために組織力強化が重要と考え、評価制度を導入する意思決定をされました。
キーマンは評価する側にあり
制度設計を進めて行く中で、評価者である幹部の方々が部下に対する関心が低く、信頼関係が希薄なことが明確になったため、評価者への訓練を通して改善することとしました。
組織再編に向け弊社から指導させていただくケースでは、評価者の訓練を特に重視しています。
部下に評価を受け入れてもらうためには、評価者が信頼を得ていなければならないからです。
訓練では、評価基準のすり合わせに始まり、部下一人ひとりに対してどのようなフィードバックをするのか、準備をしました。
これまでの経験、将来目指す姿、やりがいを感じる業務、苦手な業務など、部下のことをどれだけ知っているかを確認し、理解度に応じた面談の進め方を設計する必要があるからです。
準備の中で、「部下への理解が浅い」という認識をしていただき、まず徹底的に相手のことを知ることから始め、評価と課題の話をするということになりました。
信頼を得てこそ進む人材育成
ひと通り面談を実施後、以下のような手ごたえを感じていただけました。
・部下から「このような機会を待っていた」という声をもらった
・今まで知らなかったことを聞けた、部下からの要望を聞くことができた
・面談後から部下の行動に変化があった
いかがでしょうか。
人材育成でまずやるべきことは「部下を知る」ことだということがお分かりいただけたかと思います。
これから自社で人材育成に取り組む皆さまにとって、参考になれば幸いです。
前回コラム「評価制度は賃金分配制度にあらず!わかりやすい評価で人を育てる」はこちらからご覧ください。