日本酒を世界酒に!トレンドで終わらない日本酒と酒蔵の在り方を創る(前編)
- 2021/6/16
- インタビュー
世界的にも人気を博す日本酒を活用し、プロモーションやブランディング戦略の立案・企画、日本酒PRの総合広告代理業を営むクロッシング株式会社代表取締役社長の畔柳伸さん。唎酒師でもある畔柳さんは、デジタル・メディア「おいしい日本酒」を運営し、自ら編集長として情報発信を行っています。またコロナ禍においても、日本酒の魅力を伝えるオンラインイベントを開催する等、誰にでも分かりやすく、おいしい日本酒のある楽しいライフスタイルを提案していらっしゃいます。さらに、酒蔵の抱える様々な課題の解決にも取組み、承継問題や若手後継者の支援にもパートナーと一緒に尽力されています。前編では、起業された経緯と日本の酒蔵の現状についてお話しくださいました。
目次
日本のいいものを世界に発信
――創業のきっかけを教えてください。
畔柳氏――創業は昨年の8月ですが、おいしい日本酒を活用したプロモーションやブランディング戦略の立案・企画を柱とした現在の事業は、今までの仕事の延長線上にあります。
きっかけは、日本の本当にいいモノを国内外に伝えていきたいという想いからですね。
以前、CJプライムショッピングというテレビ通販会社で、世界のいいモノを日本に紹介して、日本国内でのディストリビューターとして流通させていくという仕事をしていました。
当時一番売れたのは、アブトロニックというお腹に巻いて電気信号で腹筋を鍛える商品です。
輸入した商品をブランディングして人気を集め、国内市場へ広めていくということを10年以上行っていました。
海外に周知させた経験を生かして
畔柳氏――日本にはいいモノがたくさんある。
でも、この先内需は減少していく一方です。
ではそれを、アジアなどの成長性の高いところに紹介していったらどうだろうか。
ゼロから市場を開拓してモノを売るのは大変ですが、本当にいいモノを、例えばテレビ通販の手法でしっかり説明をして売ることができれば、爆発的に売れるんじゃないか。
これからは国内商品を輸出する番だろうという逆転の発想です。
そんな使命感を持ってテレビ通販会社を辞めた後、当時経済産業省が推進していたクールジャパン構想のなかで、近畿経済産業局が主体となり関西の地場産業品と伝統工芸品を海外に輸出し広める取組に携わる機会がありました。
手を挙げた事業者と個々が抱える情報不足や人材不足等の課題を解決するために、クリエイターやデザイナー等の異分野の事業者を引き合わせてネットワークを形成しました。
次に、海外ノウハウを持った専門家と一緒に海外展示会でのPR、サンプル商品から海外バイヤーの意見を取り入れ、最終的に海外向けにカスタマイズした商品を輸出するという3年計画事業です。
この初年度に事務局として携わっていました。
志ある企業との協業で起業
――いよいよ日本のいいモノを世界に発信する準備が整ってきたわけですね!
畔柳氏――1年取り組んでみて、経済産業省の仕事を継続させても良かったのですが、自分のやりたいことを自分が中心になってやってみたいという思いに至りました。
じゃあ、何をやるか?と考えたときに、それが日本酒だったんです!
日本酒を扱うには酒蔵さんとの繋がりが大切ですし、資金や人材のリソース確保の問題もありましたので、志のあるスタートアップ企業と一緒に新規で日本酒のPR事業を行うことからスタートし、約4年で独立し、クロッシングを創業しました。
現在は、日本酒造組合中央会や、出身の愛知県から委託事業として日本酒の需要開発の推進する仕事をメインに、日本全国の地酒蔵が加盟する「日本地酒協同組合」や日本酒を国内外に卸販売しているジザケジャパン社、酒蔵再生のコンサルティングを行うリボーン社と協業しながら日本酒に特化した発信を進めています。
▶次のページでは、日本各地の酒造が存続の危機に面しているなかで、若手経営者たちの躍進とそれを支援する畔柳さんのコンサル手法についてお届けします!