アルトコイン投資は事業投資・株式投資と同じ眼でみよう

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暗号資産(※)や海外不動産などに20代の頃から投資をし、日本では経営戦略・戦術に関するアドバイザーを行っている中島宏明さん。「コロナ禍で取引が過熱するビットコインとは何か」では、世界初の暗号資産ビットコイン普及の歴史について解説いただき、暗号資産をめぐる環境整備や未来予想への考察も「ビットコインがポートフォリオに組み込まれる日」で取り上げさせていただきました。

今回は暗号資産を簡単におさらいしたうえで、「アルトコイン」について解説いただきます。アルトコインはビットコイン以外の暗号資産の総称ですが、投資の対象とするうえでのポイントを中島さんが教えてくださいます。暗号資産への投資をお考えの方、必見です。

※2020年5月施行 資金決済法・金融商品取引法等の改正により、法令上「仮想通貨」から「暗号資産」に呼称変更されました。

今さら聞けない「暗号資産」

暗号資産とは、日本では仮想通貨という呼称のほうが馴染みがあるかもしれませんが、お金(貨幣)と同じような機能と性質を備えたデジタル資産です。暗号資産を「フィンテック時代のデジタル通貨」と言い換えることも、「世界中で利用できる国境のない国際通貨」と言い換えることもできるでしょう。

暗号資産は、法定通貨のような紙幣や硬貨といった実体を持ちません。中央銀行によって発行されているわけではありませんし、法律で定められてもいません。全取引がデータ化されている、オンライン上のデジタル通貨です。

コピーや改ざんが容易だったこれまでのITの世界では、お金をデータとしてのみ扱うことは難しいとされてきました。しかし、世界最初の暗号資産であるビットコインを支える「ブロックチェーン」という技術によって、改ざんが極めて困難なデジタル通貨が実現しました。

海外取引にも高い利便性

法定通貨は、国家・政府が法律で定め発行する通貨ですが、暗号資産は国家や政府に依存しません。つまり、法定通貨のように国がその価値を保障するのではなく、匿名の個人や集団、法人によって発行され安全性を担保しているものです。また、決済や送金においては、銀行などの金融機関を介する必要がありません。

したがって、暗号資産は普及が進めば進むほど、世界中のどこでも同じ条件で利用することができる利便性の高いツールです。例えば、旅行や出張のときに両替の手間がなくなり、通貨としてそのまま現地で使えますし、海外送金代わりにも利用できます。

海外送金を毎月のようにする人は少ないかもしれませんが、法定通貨の場合は送金手続きが面倒な上に着金まで数日かかり手数料も高いですから、暗号資産の方がよほど手軽です。海外に進出している企業の経営者であれば、国外送金の機会はよくあるでしょう。また、留学生がいるご家族であれば、生活費や学費を送金することもあるでしょう。そのような社会背景に置かれた一部の人たちにとって、すでに暗号資産は便利な送金手段となっています。

暗号資産は信頼できるのか

前述のとおり改ざんが極めて困難な、暗号を用いた新しい技術であるブロックチェーンによって、取引の信頼性・安全性を担保された暗号資産は、技術的には信頼できるものと断言できるでしょう。

安全と信頼を支える技術“ブロックチェーン”

特に通貨の取引においては、二重支払いが起こってはならないことですし、一つでも、あるいは一桁でも数字に誤りがあれば、深刻な事故となります。その回避のために、分散型ネットワークの参加者同士が相互監視するのがブロックチェーンです。

ビットコインとブロックチェーンは一緒に議論されることが多く、表裏一体のような関係にはありますが、同じものではありません。ビットコインは、あくまでブロックチェーンの技術を応用して開発された暗号資産であり、ひとつのアプリケーションです。

数々のハッキング事件の報道によって、「暗号資産は安全ではない」と誤解している人もいるかもしれません。しかし、暗号資産のブロックチェーン自体がハッキングされたことは一度もありません。過去に起きたマウントゴックス事件にしてもコインチェックのネム流失事件にしても、取引所のシステムの脆弱性が狙われたものです。

ただし、ブロックチェーンの技術が信頼できるものであるからといって、すべての暗号資産が信頼できるということではありません。暗号資産にまつわるリスクのほとんどは人為的な要因によるものです。詐欺的なセールストークで出資を募る暗号資産投資案件がいくつもあります。

暗号資産に投資するのは今からでも遅くないのか

暗号資産に投資するのは、今からでも遅くはありません。「いい暗号通貨」を見つけ出すことができれば、10倍や50倍になることもあります。

株式や不動産など従来の投資先と比較すれば、暗号資産の歴史はきわめて浅いと言えます。まだまだ黎明期です。だからこそ夜が明けると同時に、主要な暗号資産が今後大きく価値を上げる可能性も十分ありますし、新たな暗号資産も続々と登場しています。

ビットコイン以外の新しい暗号資産のことを、「アルトコイン」と言い、日本では「草コイン」と呼ばれることもあります。最近は、ビットコイン以外の新しい暗号資産だけでなく、「メジャーではない暗号資産」のことを総じてアルトコインと呼ぶようにもなってきています。

アルトコインに注目する要素

主要な暗号資産よりもアルトコインの方が伸びしろは大きいと言えるでしょう。ただし、大きな利益を得るためには、どの暗号資産が価値を大きく上げるのかを見極める力がカギとなります。

重要な判断基準になるのが、「利便性の高さ」と「発行元の信頼性」です。

「利便性の高さ」とは、「送金スピード」が早い、「手数料」が安い、「決済機能」や「保管機能」に優れている、「その暗号通貨独自の機能がある」などといった指標で計ることができるでしょう。

また、もう一つ重要なのが「発行元の信頼性」です。例えば、リップル(XRP)を発行・管理しているリップル社のように、発行元が明確な暗号資産も存在します。このように発行元が明確であれば、暗号資産を発行し管理している企業もしくは組織の経営者および経営陣の経歴や実績から、その暗号資産の優位性を推し量ることもできます。

そもそも、暗号資産の発行と管理は一つの事業です。リップル(XRP)は、ブロックチェーン技術と銀行間の送金システムを組み合わせた国際送金システムとして開発、発行された暗号資産です。つまり、送金サービスを提供することで利益を上げるための事業として立ち上げられ、運営されています。

暗号資産への投資は事業投資と同じ

事業である以上いうまでもなく、経営者に関する情報や事業計画などを収集、検討した上で、投資や出資の対象となり得るかどうかを判断する必要があります。M&Aで事業を買う場合は、収支や事業計画を確認するはずです。株式投資をする場合も、業績や経営者に関する情報を調べるでしょう。ところが暗号資産に投資する人の多くは、暗号資産投資をギャンブルや宝くじのように捉えている傾向があります。これは極めて残念なことです。

よく調べずに安易な気持ちで暗号資産に投資すれば、失敗の確率は上がります。暗号資産の発行元がわかっている場合は、それらのビジョンやミッション、事業計画はどのようなものか。そして事業計画は、実現可能な内容なのかどうか。経営者および経営陣の経歴や実績は、事業計画の実現性を支え得るものなのか。さらに経営者や経営陣の人柄はどうかなど最低限のリサーチを行い、投資するかどうかを判断する方が良いでしょう。

それらの情報すべてを集めることはできないかもしれませんが、少なくとも自分が投資するうえでの懸念や疑問点を解消しようとつとめるのは大切なことです。

「著名人が認めている暗号資産だから安心だ」ということは決してありません。自分で情報を集め、自分で学び、自分で判断することで、暗号資産に対する鑑識眼が養われていくと思います。

中島宏明さんの過去記事はこちら

中島 宏明

投稿者プロフィール
1986年、埼玉県生まれ。2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立。一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から暗号資産投資、不動産投資、事業投資を始める。現在は、複数の企業で経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。

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