シリーズ『スモールM&Aを成功させたいあなたに』 第3回目/まずは成功要因を知る

日本M&Aアドバイザー協会の大原達朗会長による解説、スモールM&A、個人M&Aに取り組むうえでの12のポイントのうち、前回は第2回目「アドバイザリー報酬の仕組みの理解」をお届けしました。その続きとなる第3回目は、「まずは成功要因を知る」です。

※本記事は、大原氏がYouTubeで配信する「【1時間で学ぶ 】2020年 スモールM&A現実と成功のための12のポイント」を編集したものです。

M&Aが成功する要因

~ポイント3~

買い手の圧倒的な経営力が不可欠

買い手側のFA報酬が高いことにはどんな背景があるのでしょう。そもそもM&Aが成功する最大の要因は、買い手が売り手よりも圧倒的に経営力があることだと私は思っています。

大原氏の資料を元にZ-EN編集部作成

  • 新しいオーナーになり経営のやり方が変われば、一気に価値が上がり、売上・利益も見込めると期待値が高い場合
  • 具体的に買収した後、何をどう・いつやるのか、買い手にイメージがはっきりある場合

これらは買収した後にシナジー効果が出て、売る前の会社よりも採算性がよくなる可能性が高い。あくまでも将来的なことなのでやってみないとわかりませんが、経営力を持つ買い手はこのように考えています。すでに買収で実績を重ねている会社で言えば、今まで何件もやって成功事例もある状態です。

よくないのが、明らかに売り手に力がある場合です。この場合、リスクは高まります。会社が大きければ新規事業を取り込んでいくなどの発想で、自社にない能力・サービス・発想・技術を持っている会社を買収する戦略が多くなります。ただし、そういう場合でも、非常に優秀なスタッフが揃っているとか、素晴らしいツールやプロダクトサービスがあるということがポイント。これらにはかなわないけれど、販路や営業力、物流などの、自社の強みを生かしつつ足りないものを補充し、一緒になったり、子会社になったりする。これにより、かなり高い確率で利益が伸びていくだろうと将来に向けたシナリオを書けるのも経営力です。すべての面で買い手が上回っている必要はないですが、売り手よりも明らかに勝っている経営力がないと失敗しやすいのは事実です。

個人に依存するスモールM&A

案件のサイズが小さくなると、買い手側の経営力がさらに大きく影響します。組織がきちんとできている上場会社同士のようなM&Aであれば、あまり心配する必要はないですが、スモールM&Aの場合、売り手側はその経営力を社長や内部スタッフ個人に依存する部分が非常に大きいので、買い手がそれを圧倒的に上回る経営力を持っていることが、成功要因になるのだと思います。

しかし、実際は、経営力がないのに買収をしてしまうケースが多いです。自分にはノウハウがなくすべて現場に任せているが何とかなるんじゃないかと思っている経営者。よほど人心掌握に長けているか、現場とのコミュニケーションを重視するかでないと、お金だけ出してほったらかしにされたら、現場は普通動きません。このようなケースでは、多くが結果的にうまくいかないのが現実です。一番まずいのは、経営者にノウハウがないのに、現場で働く優秀な社員が辞めてしまうケースです。経営者が業界に詳しくないうえ自分では管理ができない。穴埋めに優秀な人材を採用できるかというと、なかなかうまくいかないでしょう。

勘違い案件の多発

私はこの業界のことを長い目で見て成長させていきたいと考えていますので、明らかにうまくいかないだろうと思える案件に関しては、紹介もオススメもしていません。しかし業界の現状としては、なんとなくできるんじゃないかという「勘違い案件」、ノリで売買するケースが頻発しています。

たとえば、会社にキャッシュが3~5億円あって、M&A をやったことがないのでやってみようと、興味本位の軽いノリで2,000~3,000万円のM&Aをやって損をしたケース。会社の損失自体は全体から見ると少ないでしょうが、現場で働いている方たちにとったらたまったものじゃないと、モチベ―ションも保てなくなるはずです。

もちろん、事前の見積り、シミュレーションではうまくいくと分析して結果的にうまくいかなかった場合は、誰も責めることはできません。しかし、初めからうまくいくはずのないマッチングに手を出すケースも散見しますし、そこを狙ったアドバイザーもいるのです。

ですから、スモールM&Aであっても、どういう会社と一緒になったらうまくいくのかを自分たちで熟考し、調べて行動できるように力を付けていただきたいと思います。

【著書】
この1冊でわかる!M&A実務のプロセスとポイント
サラリーマンが小さな会社の買収に挑んだ8カ月間

次回4回目は「三密M&Aを実現しよう」をお送りします。

出典:【1時間で学ぶ 】2020年 スモールM&A現実と成功のための12のポイント
この記事は著者に一部加筆修正の了承を得た上で掲載しております。

大原達朗
日本M&Aアドバイザー協会代表理事
アルテパートナーズ㈱代表取締役
アルテ監査法人代表社員
公認会計士

投稿者プロフィール
青山監査法人プライスウオーターハウスに入社し、大手一部上場企業を含む国内街の会計監査、IPO支援コンサルティング、買収監査(デューデリジェンス)等を担当
2004年大原公認会計士事務所を開業独立
インドネシアPT.SAKURA MITRA PERDANAを立ち上げ、実業家として国際的に活躍。会計監査、M&A、IPO、PMI、DDなどファイナンス・アカウンティングの領域で23年の経験を持つ

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