論理思考を可能にする4つのツールで議論を活性化させよう
- 2021/6/28
- 経営全般
「ミーティングを活性化するノウハウ」について、一般社団法人日本パートナーCFO協会代表理事を務める高森厚太郎さんが全3回にわたって解説くださる最終回。前回の「論点整理と議論の見える化がミーティングを活性化させる」のなかで取り上げた「4つの論理思考ツール」について、その詳細を説明していただきます。何をなぜ議論しているのか、議論はどの方向に向かえば最善なのか。会議中の?がなくなり、目で見て理解できる論理的思考術です。
目次
スピードと精度を上げる論理思考ツール
論理思考のツールとは、複雑な事象を正しく捉えるために、事象を構造化するための型のことです。論点を整理し定型化した型に沿って考えることで、論理的に考えるスピードが上がり、かつ、脱線することなく正しい道筋での論理思考の精度をも上げることができます。代表的な論理思考ツール4つは次の通りです。
全体像をつかむ“MECE(ミーシー)”
事象を整理するために、全体をモレなくダブりなく切り分ける考え方が、「MECE」(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)です。MECEを使うと、重要な点の見落とし(モレ)がないか、あるいは同じことをダブって考えていないかをチェックできます。MECEは、全体を捉えつつ事象をいくつかに正しく分類する、「論点整理」では基本となる論理思考のツールです。
上の図に示したものの中には、厳密な意味ではMECEでないものもありますが、精密な分類にこだわる必要はありません。実践性を考慮し、8~9割の精度で使用に耐えれば十分であり、むしろその方が効果的なことが多いのです。
構成要素が一目で分かる”ロジックツリー”
全体をとらえつつ、MECEを意識しながら構成要素に分解していくための思考ツールが、ロジックツリー(下図)です。全体像を網羅的に把握するときに有効です。
ロジックツリーは、主に2つの場面(下図)で使われます。「論点整理」では、議題としてあがった問題の原因追及や解決策を出す際に使うと良いでしょう。
ロジックツリーで考えるメリットとして、以下の3点があげられます。
- システマティックに分解できることにより、思考や議論のスピードアップが期待できる。
- 全体像を捉えることを意識づけられる。思考の幅の広がりを担保し、思考や議論での見落としを防ぐことができる。
- システマティックな分解であることから、第三者への説明、後での振り返りがしやすい。ナレッジがたまり、再現・再活用しやすくなる。
ロジックツリーは「論点整理」のみならず、仕事で常に格闘することとなる問題解決の局面で幅広く使える本丸のツールになります。ロジックツリーを使いこなして、論点整理や問題解決を効率的に的確に進めていきましょう。
図と表を使い分ける”マトリックス”
MECEの切り口で事象を2軸で図表化したものを、マトリックスと呼びます。マトリックスには、テーブル型とポジショニングマップ型の2つのタイプがあります。
ホワイトボードなどで図を使って議論を整理することが多い論点整理。マトリックスの2つのタイプを意識して整理すると、わかりやすく議論が整理でき、とても有用です。
認知度No.1”フレームワーク”
MECEの切り口の中でも、3Cや4P、バリューチェーンなど汎用的によく用いられる切り口は「(ビジネス)フレームワーク」と呼ばれます(下図はビジネスで良く活用されるフレームワークの例)。
フレームワークをうまく用いることで、大きな視点を見失わず、見落としを防ぎながら、効率よく「論点整理」を行えるようになります。
例えば、自社の事業の仕組みを分析し、どこに改善の余地があるか見つけようとすることがミーティングの議題だった時、「バリューチェーン」という事業分析の枠組みを知っていれば、効率は大きくアップします。また、フレームワークで物事をとらえることは一般的に周知されているため、第三者とコミュニケーションする際に説明が省けるというメリットもあります。
前回も述べた通り、目に見えない議論の交通整理を、その場の当意即妙でできるというのは、かなりの高等技術です。今回上げた4つの論理思考ツールは、議論を可視化し理路整然とメンバーが論点を理解できるようにする格好のツールです。
ファシリテーターはぜひ4つの論理思考ツールをマスターし、駆使して、論点整理と議論の見える化で、議論の活性化にチャレンジしてください。
出典:マイナビニュース 「ミーティングを活性化させるための『論理思考ツール』4つ」(図表はすべて著者作成のものを引用)
この記事は著者に一部加筆修正の了承を得た上で掲載しております。