【座談会】今更きけないDX経営〜レガシー企業文化からの脱却 2代目社長のDX(前編)

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DX推進②更なるDX化への疑問

芝田総合法律事務所の場合

――ありがとうございます。芝田さんのところはいかがですか?

芝田麻里氏(以下、芝田氏)――うちの弁護士事務所は父から引き継いで私が2代目になります。
環境問題や廃棄物問題を中心に取り扱うちょっと変わった事務所で、現在弁護士5名と事務職員2名の合計7名が所属しています。

DX化はITに強い内部人材の支援により、スタッフはパソコンさえあればいつでもどこでも自社サーバーにアクセスして仕事ができる環境にあります。
私自身、現状の社内システムに特段の不満はありませんが、クラウドでの管理体制に移行した方がいいなどの意見もあり、何が事務所にとって最適なのか、メリットは何なのかがわからない状態を解消して、いいものは取り入れていきたいと思っています。

芝田さんと法律事務所職員(HPより)

DX推進③ITの力で人手不足を解消

株式会社アラキ企画の場合

――ありがとうございます。荒木さんのところはいかがですか?

荒木知太朗氏(以下、荒木氏)――家業に入る2007年まで10年間勤務した信用金庫は、まったく IT化が進まず、すべて手で書き手で集計するという環境でした。
その後、家業の会社に入ってみたら、信用金庫時代と同様にIT化が遅れていて、Excelすら使っていない状況でした。

業務は煩雑で量も多く、私自身外に出ることもできない状況を人に相談したところ、某グループウエアを紹介されて2011年に導入しました。
社内コミュニケーションがとれるようにするところから少しずつ進めて今年で10年が経過し、今では社員みんなが使いこなせるようになっています。
すべての情報をシステム上で共有でき、ワークフローのシステムも使いながら、業務の一元化と簡素化ができて良かったと思っています。

その他、ゴルフ練習場の貸しボールの機械を3年前にすべてシステム化して、売上金に手を触れることなくデータ化できる仕組みを取り入れました。
これでデータ入力の事務作業が軽減され、人手不足に悩むこともなくなったと思っていたのですが、実はちょうど今、システムと機械にエラーが多発して、今まで以上に労力が掛かるという事態に陥っています(笑)

これが解消すれば、業務の簡素化が大分進むことになります。
他にも人事労務のソフトを入れたり、社内サーバーを入れてVPN接続できるようにと進めているので、残る課題は今のシステムエラーを直すことと経理関係です。
領収書などの紙保存をやめてなるべくペーパーレス化し、クラウドに保管できるようにすることもこれからの課題ですね。

アラキ企画が運営するゴルフ練習場ガーデン藤ヶ谷ゴルフレンジ(HPより)

――2022年1月以降、電子帳簿保存法の改正で電子帳簿での保存が取り組みやすくなることも追い風ですね。

荒木氏――そうですね。
OCRで読み込んだスキャナ保存も税務署長の事前承認制度が廃止され、社内チェックや定期検査が不要になるようなので、改正後は一気にペーパーレスに移行したいと思っております。

この続きは、中編「DX化を社内に浸透させるのは経営者のITリテラシー」でお届けします。お楽しみに

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田澤孝雄
京南オートサービス株式会社 代表取締役社長
2代目お坊ちゃん社長の会 代表理事

投稿者プロフィール
1975年生まれ。早稲田実業高校から早稲田大学政治経済学部に進学。不動産業を営む父親に逆らえず、大学1年で宅建を取得するも父への反発心で、不動産とは真逆の弁理士取得を決意。サラリーマン時代に25歳で弁理士合格を果たす。
30歳目前にして家業に入社。家業のガソリンスタンド業界を発展しつつ、損保指定工場の板金事業に魅せられ京南オートサービスとして運営交代し37歳で社長に就任。他に介護事業や洗車事業を運営する等、多角的な事業経営をしつつ、「一般社団法人2代目おぼっちゃん社長の会」を立ち上げ家業を継ぐ2代目を支援する。
著書「ビジョン経営革命を起こした2代目お坊ちゃん社長の77の逆襲レター」
Youtubeチャンネルでの動画は現在140件

荒木知太朗
株式会社アラキ企画 取締役

投稿者プロフィール
荒川信用金庫(現・城北信用金庫)営業課、融資課を経て2007年3月に株式会社アラキ企画入社。同年7月に代表取締役就任。
信用金庫時代には営業の他、債権回収、資産査定なども担当。 FP資格も取得、税務、法務等の知識も習得。 株式会社アラキ企画では、ゴルフ練習場ガーデン藤ヶ谷ゴルフレンジ、ゴルフスクールをメインに、清掃関係や機能性素材の卸売商社も行う。

高橋成紀
株式会社高橋商店 代表取締役

投稿者プロフィール
学生時代はスポーツにのめり込み、大学卒業後、外資系IT企業を経て、30歳の時に祖父が創業した株式会社高橋商店に入社。
その後、代表取締役社長に就任。石油販売、ガソリンスタンド経営、タンクローリーによる燃料配送事業を行う。
座右の銘は「苦労は心を深くする」
オフタイムは、ランニング・料理・家族サービスなどで過ごしている。

芝田麻里
芝田総合法律事務所 代表弁護士

投稿者プロフィール
東京弁護士会所属
一般社団法人 事業承継研究会 代表理事、株式会社事業承継・M&A支援センター(JMA)代表取締役なども務める。
得意分野は、環境問題や産業廃棄物関連。事業承継、知的財産、一般民事、一般刑事なども幅広く取り扱う。
企業コンプライアンスや社内研修など、顧問先企業との密接な関係構築と予防的司法に注力している。

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