中小ベンチャー経営者必見!実務のPDCAが成長のカギ

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高度なテクノロジーが私たちの日常に浸透し、社会状況が様変わりする昨今、働くことの意味や価値について改めて考えなければならない時期にきているのかもしれません。新しい時代の働き方を模索するなかで、中小ベンチャー企業の経営者が取り組むべき仕事とはどうあるべきなのでしょうか。

その肝は「実務のPDCA」と「経営資源(リソース)の調達と配分」とお話しくださるのが、ベンチャー企業などへの経営コンサルティングをされている高森厚太郎氏。中小ベンチャー経営者が担う仕事について、実務に則した情報をご紹介いただきます。
高森氏は、デジタルハリウッド大学院客員教授、グロービス・マネジメント・スクール講師、パートナーCFO養成塾頭等も務めていらっしゃいます。

PDCA(Plan・Do・Check・Action)で実務を回す

数字とロジックで経営と現場をExit(IPO、M&A、優良中堅)へナビゲートする、ベンチャーパートナーCFO・高森厚太郎です。今回は、私の考える「経営者の4つの仕事」のうち、「実務のPDCA」と「経営資源(リソース)の調達と配分」について紹介いたします。

経営理念、経営戦略は、あくまで紙に書いたもの。そのままでは絵に描いた餅なので、何らかの形で現実のものにしていかなければなりません。

それは、商品を作ったり、研究開発したり、お客様に営業したり、カスタマーサポートしたりする業務。しかし、そういった実務を経営者がやっているようでは、会社は大きくなりようがありません。経営者は実務をやるのではなく、実務を回していく、監督していく必要があります。

実務を回していく、監督していくことが「実務のPDCA」というものです。

戦略に基づいて実行計画を立て(Plan=計画)、組織を使って実行していく(Do=実行)。実行したものは、過程や結果に良し悪しがあるので、それをちゃんとチェック、レビューする(Check=評価)。必要であれば改善をし、それをまた戦略や実行計画に生かしていく(Action=改善)。このサイクルをぐるぐる回してビジネスを伸ばしていくことが、「経営者の4つの仕事」の一つです。

「トヨタのPDCA」を解説する書籍なども世に出ている通り、「PDCA」という言葉はすでに広く浸透しています。PDCAは現場レベルの改善活動だけではなく、経営レベルでも必要なものです。

※図はZ-EN編集部作成

「実務のPDCA」は組織マネジメントが要

「実務のPDCA」においては、「Plan=計画」と同じくらい、いや、それ以上に重要であり、難しいのが「Do=実行」です。自分ではないスタッフに「Do=実行」してもらわなければならないからです。「Do=実行」させる、つまり、ヒトを動かすために、組織マネジメントが肝要となります。

「Do=実行」していくためには、組織を作ったり、会議の場を設けて情報共有や意思決定をしたりといったことが必要です。そして、組織にはチームワークが不可欠です。大手企業が採り入れたことで注目された1 on 1ミーティングも、そうした文脈のものでしょう。

もっとも、組織はヒトの集まりですので、言ってしまえば3人集まれば派閥ができます。カネは集まっても喧嘩しませんが、ヒトは喧嘩してしまいます。
ヒトの集まり、組織をどうマネジメントし、計画を達成し、ビジネスを伸ばしていけるか。組織マネジメントは一筋縄ではいかない世界であり、一義的で明快な解答もありません。

いずれにせよ、「実務のPDCA」を構築し、組織マネジメントをしっかり行い、PDCAサイクルをきちんと回していくことが、会社を成長させていくためには必須ということになります。

リソースの調達も経営者の仕事

戦略を立て、次は組織を動かして……となると当然、ヒトを採用しなければいけません。メーカーのように、何かモノを作ってとなると、原材料の調達をしなければいけませんし、工場も必要になるでしょう。もちろん、先立つ「カネ」は大前提で必要です。

つまり、「ヒト」「モノ」「カネ」、いわゆる経営資源(リソース)を用意しなければいけません。プラス、「情報ノウハウ」も必要でしょう。お客様のリスト、情報データベース、工場や店舗を運営していくノウハウなど、ビジネスを回すうえではそれらも調達する必要があります。

こうしたリソースの調達は、大企業なら人事部や財務部など、組織でスタッフが行うことでしょう。しかし、会社が盤石でない中小ベンチャーでのリソース調達は、経営者次第となります。銀行も投資家もみんな経営者を見て、おカネを出していいか判断する。採用も、会社のブランドで応募が来るわけではないので、これも経営者次第。結局、経営者の仕事になります。

全体を見据えたリソース配分を

確保できたヒトやカネをどの仕事に振り分けるのか、いわゆる「リソース配分」も経営者の仕事です。

現場は、「あれもほしい、これもほしい」、はたまた「あれは嫌だ、これは嫌だ」と、個別最適で主張するものです。現場マネジメントに責任を持つのですから、これは当然の主張。だからこそリソース配分は、全体を見据えた上で、経営者が経営判断で行うべきなのです。

会社全体のマネジメントに責任を持つのは経営者なのですから。リソースの調達と配分は、スタッフに任せることができない経営者固有の仕事ということになります。

出典:連載コラム「中小ベンチャー経営者の『4つの仕事』とは? その2」
この記事は著者に一部加筆修正の了承を得た上で掲載しております。

高森 厚太郎
プレセアコンサルティング株式会社
代表取締役パートナーCFO

投稿者プロフィール
東京大学法学部卒業。
筑波大学大学院、デジタルハリウッド大学院修了。
日本長期信用銀行(法人融資)、グロービス(eラーニング)、GAGA/USEN(邦画製作、動画配信、音楽出版)、Ed-Techベンチャー取締役(コンテンツ、管理)を歴任。

現在は数字とロジックで経営と現場をナビゲートするベンチャーパートナーCFOとしてベンチャー企業などへの経営コンサルティングのかたわら、デジタルハリウッド大学院客員教授、グロービス・マネジメント・スクール講師、パートナーCFO養成塾頭等も務める。

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