事業理念への共感とコミュニティ作りが成功へのカギ(後編)

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成功要因は理念とビジョンに共感してもらえたこと

――サービスがここまでお客様に受け入れられ、お客様自身の利益を伸ばしている成功要因はどこにあると思われますか?

堀越氏――成功要因として大きいのは、理念やビジョンを持つことだと思っています。

理念がないと、ただ儲けるために集まった集団になってしまうんです。
理念やビジョンがあると、これに共感したスタッフが共に頑張ってくれるんですよ。

理念や行動指針を作るために、星野リゾートさんなどを参考に研究しました。
そこから、カーリンク理念、カーリンク5つの行動指針を作り、パートナーである顧客に浸透させるために、この行動指針に沿ったエピソードをアップしてもらい、それを本部で半年に一回選定し表彰して栞本として編纂しています。

長期的な視点が大切

――何かエピソードがあれば教えてください。

堀越氏――例えば、車に乗り続けることを不安に感じているご家族がいらっしゃるご高齢のお客様の車購入に際して、販売店側がお客様のお住まいの地域で車を所有せずに過ごせるサービスや交通手段を調べてお知らせしてあげることです。
結果として車を購入していただける機会は失ってしまいますが、ご家族から信頼と感謝を寄せて頂けたので、このような例などを栞本に載せています。
その一時だけを見れば機会損失ですが、口コミで地域での評判があがり、最終的に多くのお客様の獲得に繋がることを大事にしています。

――フランチャイズ本部を作りたいと思っている方にもよい事例だと思います。緩やかな繋がりのなかで、お互いにとって利点の高い部分だけを共有するような新しい形は、多くの方の参考になると思います。

堀越氏――私たちは、パートナーさんにはノウハウをすべてオープンにしています

ギブ&ギブを徹底して無料セミナーも開催し、包み隠さずノウハウを話すことで少しずつでも使ってもらって広まっていけば、お客様が本気でコンサルティングを入れようと意思決定されたときには選んでいただける、そう信じて目先の利益だけに囚われないようにしたいと思っています。

組織作りへの支援も

――サービス提供のなかで採用支援もされているそうですね。

堀越氏――はい。自動車販売で伸ばしていく時には、やはり組織作りが大切です。
よく、人が育たないという相談を受けますが、採用時から間違っていることも多いのです。
母集団を増やしていっぱい採りましょうという支援ではなく、どんな人を採るかというところから組織作りが始まっていると理解して頂けるようにお伝えしています。

ベースにあるのが、経営プラットフォームと呼んでいるもの。
最上位に経営理念があって、この経営理念を実現できる人材、100%理想の人材像をブレイクダウンしていき、下層から最上段に近づけるようにするのが評価制度であると言っています。

展望と未来予想図

――重要指数は規模拡大になるのでしょうか?

堀越氏――それでいうと、重要指数は基盤数顧客の数です。
これが起点になります。
自動車販売のマーケット自体はこれから縮小に入ってきますので、拡大戦略というよりも顧客サービスの質を上げ離脱を防ぎ、生き抜く手法を学び、勝ち残ることが戦略になるでしょう。

私自身も拡大が必要なのだろうか?と悩んだ時期もあったのですが、結論としてはあたりまえかもしれませんが、お客様から求められ自然のペースで広がっていくのが正なんだと思っています。
それがないなら、価値を認められていないのだと受け止めるべきですね。

――今後の未来予測 今後目指される方向についてお聞かせください。

堀越氏――実は、デリバリービジネスをやりたいと思っているんです。

業界の今後10年のコンセプトはコミュニティ作りだと思います。
その場所へお客様が向かうのは、車を買ったり修理しに行ったりすることだけじゃない。
別の目的でも向かうんです。
それは、生活や趣味と連動していくものになると思っています。
生活必需品がキーワードなので米やパンなどなんでもいいんですけど、それを逆にこちらからも地域のお客様にデリバリーしに行く。

お客様に来てもらうことと会いに行くこと、双方からのアプローチがあって、我々の場所が昔の集会場みたいな地域の憩いの場になるといいと考えています。
それに、集客機能だけではないコミュニティ機能を創っていくことは楽しいはずなんです。
例えば、それが従業員の趣味と連動していたりすると、その従業員にはサービスを売るという以外のモチベ―ションが生まれますよね。
そんなふうに、皆が生き生きと働ける環境を整えていければと思っています

――本日はありがとうございました!

本稿「事業理念への共感とコミュニティ作りが成功へのカギ」は後編です。
前編は「責任を負えない結果を招かないために誠心誠意のコンサルを!」でご覧ください。

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堀越勝格
株式会社チームエル 代表取締役

投稿者プロフィール
自動車販売等の経験を経て2002年大手経営コンサルタント会社入社後、カーディーラー、自動車整備業、中古車販売店等、業界企業の経営から現場改善までありとあらゆるテーマの実践的なコンサルティングを展開。
2006年からはカーリンクチェーンのSV(店舗指導部隊)を率い、店舗だけでなく、チェーン全体の生産性改善に向けた戦略的指導をも推進する。
自動車販売の人材育成・営業力強化は勿論、経営戦略の策定支援、製販の組織連携強化、組織活性化、人事評価システムの構築等、多岐に亘るテーマのコンサルティングを行い、クライアントオーナーの信頼に応え続けている。

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