事業投資とは?②「株式投資型」クラウドファンディングから得られるもの
- 2022/4/14
- 事業投資
目次
「融資型」クラウドファンディングとの違い
クラウドファンディングにおける「融資型」は、調達する側からみれば借入(Debt)です。
期日がくれば、利息をつけて返済しなくてはならない資金です。
案件は、不動産購入や太陽光発電などの安定資産取得が多く、ワクワク感はありません。
一方「投資型」は資本(Equity)です。
一緒になってIPOやM&Aでエグジットを目指す資金です。
案件は、AIやフードテックなど、今時の案件が多く、ワクワク感満載です。
日本において課題であったEquity投資家※2が増えることは社会的意義があると感じます。
クラウドファンディングを通して、将来のエンジェル投資家が増えることに期待します。
※2 株式を購入する投資家を指す。企業が儲からなければ利益が得られない反面、利益が青天井となる可能性も秘め、企業を応援する意義を持つ。
エンジェル投資税制
ベンチャー企業へ投資を行った個人投資家に課せられるエンジェル税務制度も、長らく使い勝手が悪かったものがかなり改善され、株式投資型のクラウドファンディングでも適用されます。
まずは投資実行時点で、投資額を、その年の総所得額、もしくは他の株式譲渡益から控除できるなどの税制優遇が得られます。
個人では節税スキームに限界があるので、とても良い制度です。
また、売却した時点で損が発生した場合、その額をその年で発生した株式譲渡益から相殺することが認められています。
翌年以降、3年に渡り活用可能です。
リスクを税金で補填するようなイメージです。
この制度を、クラウドファンディングで知った方も多いはずです。
ここからスタートして、本当のエンジェルとなり税制をフル活用する方が増えることを期待します。
新規参入取引事業者への期待
市場が盛り上がるためには、参入する事業者の数が増え、適切な競争原理が働くことが理想です。
金融庁への登録要件ハードルが高いこともあり、株式投資型クラウドファンディング業務を行う金融商品取引業者は、2022年2月1日現在5社に留まっています。
FUNDINNO以外の取扱業者は、イークラウド、エンジェルナビ、CAMPFIRE Startups、ユニコーンです。
イークラウド株式会社 |
エンジェルナビ株式会社 |
株式会社CAMPFIRE Startups |
株式会社FUNDINNO |
株式会社ユニコーン |
出典:日本証券業協会「株式投資型クラウドファンディング業務を行う金融商品取引業者」
取扱業者数が急増することは予想しにくいですが、資本増強などにより既存事業者との提携が予測されます。
ユニコーン社は、金融メディア上場企業のZUUの関連会社となるなど、水面下で動きがあります。
何か特定の業種で、市場で強みがあり、事業者顧客基盤がある先が参入することで市場が活性化することを期待したいです。
企業倒産に関わる貴重な経験
成長性が高いベンチャー企業には、失敗はつきものです。
それにより、「株式投資型」クラウドファンディングにおける審査基準や審査コストを高める声が上がり始めていますが、利用する企業が減り、本末転倒になる可能性があります。
不謹慎かもしれませんが、投資した企業が倒産や事業停止するなどの経験は、そうめったにできるものではありません。
もし可能なら経営陣と話をして、一緒に解決策を探ることなどができれば、これ以上の事業投資家としての貴重な経験はないのではないでしょうか。
それが10~50万円できるのであれば、投資リターンとして十分な経験知を回収できるはずです。
事業投資とは本来そういうものなのです。
まだまだ、課題はあるものの、事業投資の入り口としては、とても良い仕組だと感じます。
株式投資型のクラウドファンディング登録事業者も市場拡大し、自らも収益化するために、皆さん頑張られています。
是非、登録5社のHPを一度覗いてみては如何でしょうか。
参考:中小企業庁「エンジェル税制のご案内」
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③ フランチャイズ投資の要諦
④「事業投資」と「不動産投資」の領域が近づいてきている理由
⑤ 誰もがエンジェル投資家になれる!開かれた投資の時代
⑥ 中小企業に最適!ストックビジネスの始め方
⑦ 事業投資を成功させる人の思考・行動パターンとは
⑧ 2022年はスタートアップ元年!?事業投資スキルが成功率を上げる!
⑨ 他では得られない!事業投資がもたらす5つのメリット
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